大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ラ)402号 決定

記録を精査するに、本件競売不動産中別紙目録記載の建物の登記簿謄本並びに抗告人提出の疎明書類(公正証書正本及び計算書)によれば、右建物については本件競売開始決定前である昭和二十七年十月三十一日、浦和地方法務局越生出張所受附第一二八八号を以て抗告人のため、昭和二十七年十月三十一日附根抵当権設定契約により債権元本限度額金十万円利息年一割二分、但契約に因る債務不履行のときは金百円につき一日金五銭の割合により損害金を支払う約の根抵当権設定登記がなされていること並びに右契約に基く貸付残元金九万九千五百円及び右残元金に対する昭和二十八年二月二日以降前記特約に因る損害金債務が現存していることが認められる。  そして本件競売物件のうち,別紙目録記載の建物の最低競売価額は金六万七千七百円、他の競売物件たる宅地四十六坪のそれは金六万九千円であつて、原裁判所はこれらを個別的に競売に附し当該競売期日に債権者(競売申立人)から右各最低競売価額を以て最高価競買の申出があつたところ、原裁判所は前記土地建物を一括して右最高価申出価額の合計金十三万六千七百円で競落許可決定を言渡したものであること、本件記録に徴して明らかである。

してみると少くとも前記建物については最低競売価額を以て差押債権者の債権に先だつ前記抗告人の根抵当債権を弁済して剰余ある見込がないのであるから、これを競売に附するに当つては須らく民事訴訟法第六百五十六条、第六百五十七条後段の手続を経た上競売期日及び競落期日を定めて公告すべきであつたのである。しかるにかかる手続を経ることなく前示経過の如く漫然競落許可決定を言渡したのは前記法条に違背し従つて同法第六百四十九条の法意に照らし違法たるを免れない。そしてかかる事項は執行機関の調査すべき執行法上の事項であつて民事訴訟法第六百八十一条第二項、第六百七十二条第一号に該当し競落許可決定に対する抗告理由となることも明らかである。

しかして前記競売手続上の瑕疵は本件競売建物についてのみ存するのであるけれども、前示の如く原裁判所はその競落許可決定において土地と建物について個別的に各最高価競買申出価額即ち当該競売物件に対し各別に売却代金を表示することなくその合計額金十三万六千七百円を以て両者一括し、競落を許可したのであるから、かかる決定は全面的に取消を免れない。

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